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腎臓の病気(腎臓癌、腎腫瘤、腎嚢胞、腎臓結石)

こちらでは腎臓の病気についてお話ししたいと思います。そもそも腎臓はどのような臓器なのか、腎臓の働きやかかりやすい病気などについて解説していきます。ここでは泌尿器科の中での腎臓の病気について扱います。糸球体腎炎や慢性糸球体腎炎(IgA腎症)のような腎臓内科で扱うような病気は除きます。なるべく専門用語を使わずにわかりやすく説明していこうと思いますので、一読していただければ幸いです。

◆目次◆

1 そもそも腎臓とは
2 腎臓を調べる検査
 2-1 尿検査
 2-2 採血検査
 2-3 超音波検査
 2-4 CT検査
3 腎臓癌
 3-1 転移性腎細胞癌
 3-2 腎細胞癌
  3-2-1 腎細胞癌とは
  3-2-2 腎細胞癌の症状
  3-2-3 腎細胞癌の治療
4 腎腫瘤(良性)
 4.1 腎血管筋脂肪腫(AML)とは
 4.2 腎血管筋脂肪腫(AML)の治療
5 腎嚢胞とは
 5.1 多発性腎嚢胞
  5.1.1 多発性腎嚢胞の経過
  5.1.2 多発性腎嚢胞の治療
6 腎臓結石
 6.1 腎臓結石の症状
 6.2 腎臓結石の経過
 6.3 腎臓結石の治療
7 診療費用

1 そもそも腎臓とは

腎臓とは、血液中の余分な水分や不要な物質をろ過して尿として体外に排出してくれる働きがあります。腎臓の機能が弱まるとカリウムやクレアチニンなどの不要な物質や余分な水分がどんどん体内に溜まってしまい、逆にタンパクがどんどん外に漏れでてきます。最終的に腎臓が全く働かなくなると人工透析と呼ばれる状態になってしまいます。人工透析になると血液を一度外に出してろ過し、綺麗になった血液を体内に戻します。腎臓は他にも赤血球を作るホルモンを出すなどとても重要な働きをする臓器です。腎臓の機能が落ちることでそのような働きも障害され、貧血になります。

2 腎臓の病気を調べる検査

2.1 尿検査

尿検査で赤血球や白血球が出ていないかを見ます。腎臓に石やできものがあると尿に赤血球や白血球が混じることがあります。がん細胞やバイ菌の有無も一応調べますが腎臓の病気(腎臓癌、腎嚢胞、腎結石、腎臓腫瘤)でそれらが陽性であることはあまりありません。

2.2 採血検査

採血検査では腎臓の機能を調べます。腎臓がんなどでは白血球やCRPの値も上がってくるのでこれらの数値を診断の基準にします。クレアチニンの数値も調べて腎臓の機能が衰えていないかを確かめます。

2.3 超音波検査

腎臓の検査で超音波検査は非常に重要です。超音波検査で腎臓のがんや腫瘍を疑うことになったらCT検査(造影CT検査)に移ります。腎臓の中の病気は超音波検査で判明することがほとんどです。健診で腎臓の検査を定期的に行うことは非常に有用だと思われます。

2.4 CT検査

腎臓がんや腫瘤を確定させるために必要な検査です。造影CTを使うことでより詳細な検査が可能になります。当院でも今後CT検査を導入予定です。

3 腎臓癌

3.1 転移性腎細胞癌

他の臓器から腎臓に転移してくるがんのことです。大元の臓器、例えば肺などにできたがんからの転移なので治療は大元の臓器のがん治療に準じます。転移していると根本的な治療が難しいため予後はあまりよくありません(癌の治療の基本は細胞1つ残らず身体から除去することです。大元の臓器と転移先から癌を除去出来たとしても、1つでも他の臓器に転移しているもその他にも小さい腫瘍が転移している可能性が高いと考え手術することはそうありません)

3.2 腎細胞癌

3.2.1 腎細胞癌とは

腎細胞がんは腎臓を源として腎臓にできるがんです。一般的な腎臓がんは腎細胞がんのことです。尿の通り道にできる腎盂がんとは違います。腎細胞がんは、50歳代から70歳代の男性に多く見られるがんです。喫煙、肥満、高血圧が3大リスクとされていますが、長期間の人工透析を行なっている方や遺伝的な要因もあると言われています。日本人の食の欧米化や高齢化に伴い年々増加傾向にあります。

3.2.2 腎細胞癌の症状

腫瘤の大きさが小さい場合(直径5cm以内ほど)には何も症状がありません。検診や人間ドックで見つかることが多いです。だいたい7cm以上の大きさになってくると血尿や痛みを伴います。肺やリンパ節への転移も見られると倦怠感、体重減少、血痰などの症状が出てきます。

3.2.3 腎細胞癌の治療

基本的には手術療法になります。腎細胞がんは分子標的薬や化学療法の研究もよくされているので、手術療法だけでうまくいかない場合は化学療法や分子標的薬を加えた治療になってきます。最近では免疫療法も有効な治療法になってきています。詳しいことは泌尿器科の専門医の指示に従いましょう。腎細胞がんは手術だけでなく多彩な治療方法が可能になってきております。当院からも腎癌の状態に応じて適切な治療が出来る病院をご紹介させて頂いております。

4 腎腫瘤(良性)

4.1 腎血管筋脂肪腫(AML)とは

腎血管筋脂肪腫(AML)とは腎臓に出来た血管と筋肉と脂肪の塊です。基本的には良性腫瘍ですが大きくなってくると破裂したり出血したりするリスクがあるので治療の適用になります。3cm以上で手術の適応としている病院が多いです

4.2 腎血管筋脂肪腫(AML)の治療

・動脈塞栓術(どうみゃくそくせんじゅつ)というカテーテル手術を行います。これは腎血管筋脂肪腫(AML)に行く血管を塞ぐことで腫瘍に栄養が届かなくなるようにして腫瘍をなくす方法です。皮膚を切開する必要がないため、身体への侵襲が少ない治療になります。
・先述の通り、基本的には3センチ以上なら手術を適用する病院が多いです。最近の手術は開腹手術ではなく、腹腔鏡手術で切除するところが主流になっています。動脈塞栓術に比べて身体へのダメージが大きい治療になっております。

5 腎嚢胞(じんのうほう)

腎嚢胞とは嚢胞液という害のない液体が入った袋が腎臓にできます。健康な人でも1個や数個はあるもので、このような単発性の腎嚢胞は放っておいても問題はありません。健診でも腎嚢胞を指摘されたことがある方は非常に多いのではないかと思われます。しかしこれが両方の腎臓に多発している場合は多発性腎嚢胞といって注意が必要です。

5.1 多発性腎嚢胞とは

多発性腎嚢胞は遺伝性の疾患です。常染色体優勢遺伝(じょうせんしょくたいゆうせいいでん)の疾患なので両親のどちらかがこの遺伝子を持っていると50%の確率で子どもに遺伝すると言われていて男女の差はありません。

5.1.1 多発性腎嚢胞の経過

20歳すぎる頃から嚢胞の増加に伴って腎臓機能が悪化し、約70歳以上になると半数以上の人が人工透析をすることになります。腎細胞がんを合併しやすいので多発性腎嚢胞と診断された場合は定期的に超音波検査などをして腎細胞がんができていないかのチェックをすることも必要です。

5.1.2 多発性腎嚢胞の治療

利尿剤の内服薬で腎臓の機能が悪化するのを抑えることはできますが、基本的には経過を遅らせるだけで将来的には透析になってしまいます。

6 腎臓結石

腎盂の中にカルシウムなどで形成された石のことを腎臓結石と言います。

6.1 腎臓結石の症状

結石が小さい場合にはほとんど症状はありません。大きくなってくると血尿が出てくる場合があります。ただし腎臓結石が落ちて尿管結石になると片方の腰や脇腹が強く痛むことがあります。

6.2 腎臓結石の経過

結石が落ちて詰まった場合には尿管結石として治療しなければいけませんが、詰まることなくそのまま外に出てしまったり、一生涯腎臓に留まることもあります。気づかないうちに落ちることもありますので基本的には詰まった場合に治療をすることになります。結石が腎盂を埋め尽くすほど大きくなるサンゴ状結石になってしまうと取る必要があります。

6.3 腎臓結石の治療

結石が落ちた場合には尿管結石に準じて、内視鏡的治療や体外衝撃波などの治療をします。先述の通り落ちなくてもサンゴ状結石など非常に大きくなる場合には内視鏡的手術や開腹手術などの治療を行います。
詳しくは腎臓結石・尿管結石のページをご参照ください。

7 診療費用

当院は全て保険診療です。
初診の診療費用は薬代を除き、およそ下記のようになります。(3割負担です)

尿検査のみ 2000円前後
エコー検査のみ 2500円前後
採血+尿検査 3500円前後
採血+尿検査+エコー検査 5000円前後

当院は泌尿器科専門の保険診療を行ってるクリニックであり、プライバシー管理と感染予防対策を徹底しております。
老若男女気軽に受診出来る環境を整えております。
泌尿器科疾患でお悩みの方は是非お気軽に東京泌尿器科クリニックまでご受診下さい。

この記事を執筆した人
伊勢呂哲也

日本泌尿器科学会認定・泌尿器科専門医
名古屋大学出身
年間30000人以上の外来診察を行なう。
YouTubeでわかりやすい病気の解説も行なっている。

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