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クリニック・病院での感染予防対策〜新型コロナウイルス感染予防対策も含めて〜

[2021.04.21]

クリニック・病院での感染予防対策〜新型コロナウイルス(COVID-19)感染予防対策も含めて〜

新型コロナウィルス(COVID-19)がパンデミック化して全世界に蔓延してから一年以上が経ちますが、一向に終息する気配はありません。変異株も出てきてより感染力の強い新型コロナウィルスも確認されています。今現在第4波になっているとされており、3度目の緊急事態宣言の発令も目前となっております。クリニック・病院での新型コロナウィルス対策はとても大事ですし、そもそもの感染予防対策をしっかりとることで、新型コロナウィルスをはじめとしたあらゆる感染症の予防対策につながるので今回はそのお話をしたいと思います。
ちなみに当院では大宮エヴァグリーンクリニック本院も含め、待合室や検査室の椅子は一つ一つ仕切りを設けており、新型コロナウィルスの感染対策を徹底しております。

◆目次◆

1. 標準予防策
 1.1 手指衛生の管理
 1.2 手袋の使用
 1.3 個人防護具の着用
2. 経路別予防策
 2.1 新型コロナウィルス(COVID-19)感染について
 2.2 泌尿器科領域での問題点
3. 職業感染対策(針刺とワクチン接種)
 3.1 ワクチン接種により感染防止ができるウイルス病原体
 3.2 針刺・血液に触れた時の対応
4. 新型コロナウイルス(COVID-19)と感染経路と感染対策
 4.1 パンデミックとなった要因
 4.2 新型コロナウイルス(COVID-19)に対して医療施設が遵守すべきこと
 4.3 入院する患者様の新型コロナウイルス(COVID-19)感染リスクの評価
 4.4 検査結果の解釈

1. 標準予防策

標準予防策というのは新型コロナウィルス(COVID-19)に対してだけではなく、一般的な感染予防対策に用いられます。

1.1 手指衛生の管理

病棟、外来など診療に関わる全てにおいて手洗いは必須です。石鹸を使用し水で40秒〜60秒程こすり洗いしたほうが良いとされています。それができない場合はアルコール消毒を20秒〜30秒行うと良いとされています。ウィルスは手や指から感染することが多いので、日常の機会で誰にでもできる手指消毒をしっかりと行いましょう。最近ではクリニック、病院や店舗などどこにでもアルコールが設置されていますし、個人的にアルコール消毒を持ち歩く人も増えているので、多くの人が手指消毒をしっかりするという意識になっているのだと思います。新型コロナウイルス(COVID-19)にも手指衛生の管理は非常に大切だとされております。引き続き徹底していきましょう。

1.2 手袋の使用

患者様に触れたり医療器具を使用した検査の時に手袋を使用することで、細菌やウィルスにさらされる機会を減らす効果があります。手袋の着用は当たり前なのですが、手袋には穴が空いているものだと意識して行動することが大切です。手袋で何かに触れた場合には必ず手指消毒をして、一回一回の作業後には必ず手袋を廃棄して新しい手袋に替えることが必要です。一つの手袋を消毒して使い続けることは奨励されていません。特に泌尿器科では膀胱鏡を使ったり直腸診をしたり陰部に触れる際には必ず手指消毒をして、手袋には穴が空いているかもしれない、手袋は完全な防護ではないという意識のもとで清潔に使用することを心がけましょう。
新型コロナウイルス(COVID-19)の感染者かもしれないという方と接触する時には手袋の装着は必須となります。

1.3個人防護具の着用

泌尿器科の診療を行うときに尿がかかったりなど、医療を行う際には患者さんの体液が自分の体に飛ぶということは必ずあります。手術をする際のガウン着用はもちろんなのですが、それに加えて普段の診療においての接触、飛沫感染予防としてガウンと共にフェイスシールド、マスク、手袋の使用が必要です。大宮エヴァグリーンクリニックではマスク、ガウン、フェイスシールドの着用を義務つけています。そしてそれらの防護着は患者さんごとに替えるようにしています。大宮エヴァグリーンクリニックでは特に胃カメラ検査の時に患者様の体液に触れることがあるため、スタッフ・医師一度気をつけております。

2. 経路別予防策

2.1 新型コロナウィルス(COVID-19)感染について

新型コロナウィルス(COVID-19)は飛沫感染、接触感染と言われていますが、空気感染というのも一度WHOから発表があったように決して否定はできません。マスク、フェイスシールドをしていても手指衛生、うがい、上記のような標準予防策をしっかりととることが必要です。

2.2 泌尿器科領域での問題点

尿を扱う泌尿器科にとっては清潔操作が不可欠です。そもそも尿は無菌なものなのですが、我々が尿の検体を採るときに不衛生にして尿に菌が混入してしまうと、それは患者様からの菌なのかどうかの判断がつかなくなってしまいます。泌尿器科では無菌の器具を使っての操作が多いのですが、患者様に対しての感染、自分自身の感染を防ぐためにもしっかりと清潔操作をすることが大事です。もちろん新型コロナウィルス(COVID-19)が流行る前からこのようなことは徹底していたのですが、コロナが終息しても引き続き意識して日々感染対策をしていかなければなりません。

3. 職業感染対策(針刺とワクチン接種)

3.1 ワクチン接種により感染防止ができるウイルス病原体

職業感染に至るものとして、ワクチン接種で感染が防げるものがあります。風疹、水痘、麻疹、風疹ウィルスおよびB型肝炎ウイルスがあげられます。医者はもちろん医療従事者は受けておかなければなりません。

3.2 針刺・血液に触れた時の対応

医療をしていく中で必ず起きてしまうのが、針刺し事故や患者様の血液や体液が自分の皮膚の表面に付着したり、目や粘膜の中に入ってしまったりすることです。もちろんこのようなことは起きないのが一番良いのですが、毎日大人数を相手に医療をしているとどうしても起こってしまいます。
起きた時の対処方法としては、まず患者様がB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、HIVに感染していないか確認します。患者様が感染していない場合でもそもそも自分が感染していないかそのときに確認します。もしも患者様がそれらを持っていた場合は、まず自分が持っていないかをベースラインとして確認して、その3ヶ月後に再び感染していないかを確認する必要があります。
このような状態にならないためにも針を扱うときは十分に注意をすること、手袋を着用すること、リキャップ(針にもう一度キャップをする)しないこと、特にリキャップの操作で針が刺さることが多いです。これらのことに気をつけて予防していきましょう。

4.新型コロナウイルス(COVID-19)と感染経路と感染対策

先ほど申し上げましたように新型コロナウィルス(COVID-19)はすでに1年以上も猛威を奮い続けています。それについてここではパンデミックになった要因についてと、新型コロナウイルス(COVID-19)に対しての病院、クリニックが出来ることについて書いていきたいと思います。

4.1 パンデミックとなった要因

1.新型コロナウイルス(COVID-19)の感染力の高さ

新型コロナウイルス(COVID-19)は一人の患者さんから平均6人に感染させるといわれており、インフルエンザよりも感染力が高い。

2. 5日間から14日間という長い潜伏期間

新型コロナウイルス(COVID-19)は症状が出るまで長い潜伏期間のために感染経路が特定できず、知らない間に感染させてしまっている。

3. 新型コロナウイルス(COVID-19)は他人に感染させる期間が約1週間と長い

新型コロナウイルス(COVID-19)は発症2日前から発症後5日間が感染期間とされているため、症状が出ていないときでも人に移している可能性がある。

4. 新型コロナウイルス(COVID-19)は無症状・無症候の人でも感染させる

無症状・無症候の場合の感染力は弱いですが、感染させることもある。詳しくはこちらを参照ください。

4.2 新型コロナウイルス(COVID-19)に対して医療施設が遵守すべきこと

  1. 外来や待合室で患者さんたちが一定の距離を保てるように配慮する。呼吸器症状のある人にはサージカルマスクを提供する。
  2. 標準予防策を遵守させる。
  3. 患者さんの呼吸器症状の有無にかかわらず、フェイスシールドやマスクの着用をする。また症状によってはPCR検査をすすめる。
  4. 症状の強い人にはPCR検査をするように心がける。

ちなみに東京泌尿器科クリニックでは泌尿器科専門なのでそのような患者様は基本的にはいらっしゃいません。PCR検査も現時点では行なっておりません。

4.3 入院する患者様の新型コロナウイルス(COVID-19)感染リスクの評価

新型コロナウイルス(COVID-19)でなくても肺炎などで入院が必要な患者様は発熱や咳といった症状があります。そういった患者様に対して新型コロナウイルス(COVID-19)のPCR検査をして評価するべきです。検査結果に1日以上かかってしまうとすぐに患者様が入院できないので、病院は自前でPCR検査ができるようにするべきだと思います。ただし、だれかれ構わずに検査をすると検査室が混雑したり忙しくて職場環境も悪くなるので、濃厚接触者がいた人、2週間位以内に海外渡航歴がある人、症状がある人などに限定して検査するのが良いのではないでしょうか。入院している時に新型コロナウイルス(COVID-19)の患者様が発生してしまい、そこから院内感染やクラスターが発生してしまうとそこの病棟は閉めなければなりません。そうなると医療崩壊につながってしまうので入院前の新型コロナウイルス(COVID-19)PCR検査は大事だと思います。

4.4検査結果の解釈

新型コロナウイルス(COVID-19)PCR検査は陰性だったから絶対に大丈夫ということはなく、偽陰性があります。陽性であっても陰性となることがあるということを常に意識して、症状がある方は隔離をし続けた方が良いでしょう。濃厚接触者や疑わしい要素があっても症状がなく、新型コロナウイルス(COVID-19)PCR検査で陰性だった場合には普通の患者様と同様の扱いになります。ですが陰性であったとしても明らかな症状がある場合には見栄えも悪く他の患者様を不安にさせてしまうので隔離する方が良いと思います。

東京泌尿器科クリニックでは新型コロナウイルス(COVID-19)感染対策のために前述の通り、仕切りを設けてプライバシー対策とともに診療を行なっております。泌尿器科のみの保険診療を行なっておりますので安心して受診してください。

この記事を執筆した人
伊勢呂哲也

日本泌尿器科学会認定・泌尿器科専門医
名古屋大学出身
年間30000人以上の外来診察を行なう。
YouTubeでわかりやすい病気の解説も行なっている。

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