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男性ホルモン(テストステロン)について〜最新の論文から〜

[2021.08.16]

今回は、男性ホルモン(テストステロン)について、医療系雑誌「臨床泌尿器科」に掲載された最新の論文から知見をまとめました。泌尿器科の外来をやっていても毎日非常に多くの男性更年期障害の患者様が来院されます。皆様の男性ホルモン(テストステロン)に対する理解の一助になれば幸いです。

◆目次◆

1 男性更年期障害とテストステロンについて
1.1 男性更年期障害の症状
1.2 男性更年期障害の検査
1.3 男性更年期障害の治療
2 テストステロンとメタボリックシンドロームについて
2.1 メタボリックシンドロームとは
2.2 テストステロンと糖尿病について
2.3 テストステロンと脂質代謝異常について
3 テストステロンと心臓病について
4 テストステロンと性機能について
5 テストステロンと運動について

1 男性更年期障害とテストステロンについて

最近では、テストステロンとメタボリックシンドロームとの関連が指摘され、テストステロン補充療法によって内臓脂肪の減少や動脈硬化の改善が報告されています。テストステロンを補充することは、新たな治療法と注目されています。それでは、テストステロンの色々な役割を含め、最新の論文からまとめてお話していきます。

1.1 男性更年期障害の症状

男性更年期障害は、大きく分けて3つの症状が挙げられます。抑鬱、苛立ち、不安、疲労感などの精神的症状発汗、睡眠障害、ほてり、集中力低下などの身体的症状性欲低下、勃起障害、達成感消失などの性機能関連症状です。男性ホルモン(テストステロン)が減少し、このような症状が起こることを男性更年期障害とよびます。また、45歳以上の男性のうち40%は、男性ホルモンが低下しているといわれています。

1.2 男性更年期障害の検査

血液中の遊離テストステロンを測ることで診断します。遊離テストステロンの数値が8.5pg/ml以下だと男性更年期障害の疑いが強くなります。遊離テストステロンの値だけではなく本人の症状にも留意することが大切です。
遊離テストステロンは日内変動(1日の中で値が変わる)があるため、常に午前中に測ることが推奨されてます。
詳しくはこちらのページに記載してあります。

1.3 男性更年期障害の治療

減少した男性ホルモンを補充するために、男性ホルモン補充療法を注射や塗り薬で行います。注射は2週間に1回打つことができ、こちらは保険適用内です。また、塗り薬は保険適用外のため、自費診療になります。当院では、漢方薬を内服していただくこともあります。症状によって様々な方法を組み合わせて、治療を行います。

2 テストステロンとメタボリックシンドロームについて

2.1 メタボリックシンドロームとは

メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪が蓄積されて生活習慣病を引き起こす脂質異常、高血糖、高血圧といった症状を重複して抱えることをいいます。これらは、動脈硬化や心筋梗塞の原因となります。現在、40歳以上の日本人男性のおよそ30%、50歳以上になると50%の人が、メタボリックシンドロームの疑いがあるといわれています。このメタボリックシンドロームは、テストステロンを補充することで改善が期待されます。

2.2 テストステロンと糖尿病について

テストステロンが年齢とともに低下することで、インスリン抵抗性が増加し、糖代謝異常や動脈硬化のリスクになります。テストステロンが低い患者さんにテストステロンを補充することで、インスリン抵抗性が改善されて血糖値が下がり、糖尿病が改善されるということです。男性の2型糖尿病患者さんにとって、テストステロンは非常に重要な役割を担っています。このように、テストステロンを補充によって糖尿病が改善することもあり、高齢者においては内臓脂肪も減少するといわれています。

2.3 テストステロンと脂質代謝異常について

テストステロンが脂質代謝に与える影響については、まだまだ不明な点が多くあります。これはまだ研究段階ですが、テストステロンが低い方に補充することで、悪玉コレステロールや中性脂肪が低下するとされています。正式なデータが取れるまで時間を要することになりそうですが、このような効果があるといわれています。

3 テストステロンと心臓病について

心臓病の患者さんにおいても、テストステロンが低下しているといわれています。テストステロンを補充することを良い治療法として導入している国々では、狭心症をはじめとする虚血性心疾患だけでなく、心不全に対しても補充療法が有効であるというエビデンスが蓄積されつつあります。テストステロンの作用には血管拡張作用、抗炎症作用、糖脂質代謝の改善作用、骨格筋増強作用、などがあるとされています。さらに、これらの作用が心臓や血管のシステムを改善させるといわれています。これは、テストステロンの心血管システムに対するポジティブな効果として、エビデンスが揃ってきています。まだ不十分ではありますが、今後に期待されています。

4 テストステロンと性機能について

男性の早朝の勃起は、テストステロンのバロメーターです。テストステロンが高ければ、早朝の勃起は正常に機能し、テストステロンが低いと機能しません。テストステロンとED(勃起不全)との関連に一定の見解はありません。しかしながら、テストステロンが低下するとEDや性欲低下などの性機能症状が起こるため、テストステロンが低下しED症状のある方には、テストステロン補充が推奨され、効果があるとされています。

5 テストステロンと運動について

テストステロンは、運動によって増加するといわれています。しかし、過度な運動は良くないとされています。48歳から55歳の男性市民ランナーの方々の月間走行距離と、テストステロンの関係を調査しました。その調査によると月間100㎞〜120㎞前後の走行距離が、もっとも値が高いと判明しました。そして、それ以上の走行距離ではどんどん数値が低下しました。さらに、200㎞を過ぎると要注意で、400㎞以上になるとテストステロンの低下が体にも異常をきたす程でした。適度な運動でテストステロンを高めて、やりすぎには気をつけましょう。

当院でも、男性更年期障害の治療を保険適用内で行っております。心臓疾患や脂質異常症や糖尿病に対しての保険適応での治療は認められておりません。詳しくはこちらをご覧ください。

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