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2021年の冬に向けて新型コロナウィルス(COVID-19)対策で我々がすべきこと

[2021.09.29]

2021年9月末現在、新型コロナウィルス(COVID-19)新規感染者数が急激に減少しています。緊急事態宣言も10月から解除されますし、この情報量の少ないウィルスが今後どうなるのかということは誰もわからない状況です。去年の冬も新型コロナウィルス感染者数が急に増えたので、どんどん涼しくなっていく冬という要素で再び新規感染者が増加する可能性があります。今回は2021年の冬に向けて我々が感染対策としてできることを、2021年9月に発表された最新の論文を参考にしてまとめてみましたのでよろしければご一読ください。尚、論文からのあくまでも個人的な考察になりますので、それを考慮した上で読者が個個人で判断していただきたいと思います。

◆目次◆

1 ここ最近急に新規の新型コロナウィルス(COVID-19)感染者が減った理由
2 今年の冬はどうなるのか
3 気温と新型コロナウィルス(COVID-19)感染の関係
3.1 気温が低くなると免疫機能が下がる
3.2 乾燥により皮膚のバリア機能が弱まる
3.3 乾燥によりウィルスが滞留しやすくなる
4 2021年冬に我々が気をつけるべきこと
4.1 体温を暖かくする
4.2 換気をする
4.3 新型コロナウィルス(COVID-19)ワクチンについて
5 まとめ

1 ここ最近急に新規の新型コロナウィルス感染者が減った理由

緊急事態宣言は東京では7月からずっと実施されていましたし、オリンピックパラリンピックの開催が終わったということも要因の一つかもしれません。見えないところでの人出が若干減っているのかもしれませんが、見た限りですと人通りは変わっていないように思います。そうするとやはりワクチン接種が減少の理由なのかと考えられます。私の東京泌尿器科クリニック上野でもワクチン接種はほぼ満杯の状況です。ワクチンの有効性は高いと言われていますので、ワクチンによる効果が出始めているのではないかと思っています。
あくまでこれも私個人の意見なので、皆さんご自身で判断してください。

2 今年の冬はどうなるのか

去年も特に緊急事態宣言に関係なく冬になってきて寒くなってきた時期に感染者数が増えてきました。やはり冬になると気温の低下や乾燥など季節的な風邪やインフルエンザにかかる人も増えるので、それと同様にコロナウィルスにかかる人も今年の冬は多くなるのではないかと予想されます。それに対して我々が備えられることを考えていきましょう。次の項から、冬に新型コロナウィルス(COVID-19)が増えると予想する考察と、その対策を述べていきます。

3 気温と新型コロナウィルス感染の関係

3.1 気温が低くなると我々の免疫機能が下がるのでウィルスをやっつけられなくなる

気温と新型コロナウィルスの関係ということで2021年9月18日有名な医学雑誌clinical infectious diseasesに論文が掲載されました。
ハムスターに対しての実験なので、この実験が同様に人に適用するとは言い切れませんが、とても参考になるとは思います。
その実験の内容は、平温(20度くらい)の室温、低温(12度〜15度)の室温、高温(30度〜33度)の室温に3つの群に分けてそれぞれの部屋でハムスターを新型コロナウィルスに感染させました。その結果低温の部屋で感染したハムスターの鼻や肺のウィルス量が日が経つごとに高くなってくることがわかりました。また、低音ではウィルス量はどんどん多くなっているけれど中和抗体の量が他の群に比べると低いということがわかりました。つまりここから考察できるのは、我々人間や動物の体の状況は低温だと中和抗体が作られなくなってウィルスをやっつける力が弱くなるのではないか、ウィルスの量は最初は3群とも変わらないのですが低温で体がうまく反応しないと感染が蔓延していくのではないか、ということが考えられます。それがこの論文から言えることです。

3.2 乾燥しやすくなるから皮膚のバリア機能が弱まる

一般的に冬になると、鼻や口の粘膜や体表の粘膜が乾燥して皮膚のバリア機能がうまく働かなくなります。バリア機能が低下することでウィルスも体内に入りやすくなります。乾燥するとかゆみも出てくるので保湿をしますが保湿することでバリアを張って外敵から守るのです。乾燥することでバリア機能が低下し、新型コロナウィルス(COVID-19)が体内に侵入しやすくなってしまいます

3.3 空気が乾燥しているとウィルスが滞留しやすくなる

ウィルスは乾燥していると空気中に浮遊し続けやすくなります。湿気があると湿気と共に下に落ちます。新型コロナウィルス(COVID-19)はエアロゾルを吸い込んで感染すると言われていますから、空気が乾燥していると新型コロナウィルス(COVID-19)が空中に残りやすくなり感染しやすくなるということが言えます。
これらの3つの要因が冬に感染が拡大する要因と考えられるのではないでしょうか。

4 2021年冬に我々が気をつけるべきこと

4.1 体温を暖かくする

部屋にいるときも屋外にいるときもしっかりと着込んで体温を温めて免疫機能がうまく働くようにすることが大事です。体を温めることで免疫機能が高くなります。常に体を冷やさないように、生姜入りのドリンクなど体を温める作用のある飲み物や食べ物をうまく利用して体温を温めることが大切です。

4.2 換気をする

BMJ(ブリティッシュメディカルジャーナル)2021年4月に掲載された論文によりますと換気を1時間に10回行った部屋とそうでない部屋とでは3倍くらい感染のリスクが違うということがわかりました。適度な換気は感染予防に必要です。ただし冬場は換気をしすぎると室温も下がってしまうので、その辺は工夫をしながら適度な感じで換気をすることが良いでしょう。三密を避けることも大事です。混み合ったところの換気は良くないので、引き続き三密はさけ、換気に気をつけて、体を温めて過ごすことが必要だと思います。

4.3 新型コロナウィルス(COVID-19)ワクチンについて

アメリカのCDC(Centers for Disease Control and Prevention,アメリカ疾病予防管理センター)からの発表によるとワクチンを2回接種した後4ヶ月後の有効性は、ファイザーが77%、モデルナが92%と発表しました。これはmRNA含有量とか接種間隔の違いとかが影響していると言われているのですが、これだけ経っても有効性はあるのですからワクチンの有効性というのは認められると思います。もちろん、ワクチンを打ったから絶対に大丈夫ということはないですし、ワクチンを打った人の感染も続々と報告されています。しかし2回接種後のワクチンの有効性は最近の感染者数減少や感染予防の一端を担っているのではないかと思っています。またこれも私個人の意見でありますので、この記事を読んで皆さんがそれぞれご判断ください。

5 まとめ

冬にまた感染者数が増えて重症化した人が増えると医療崩壊につながってしまいます。我々が一人一人感染しないのだと覚悟を持って、自分ができる対策をしっかりとしていきましょう。東京泌尿器科クリニック上野では全ての席に仕切りを設けて、感染対策、プライバシー対策を万全にしております。当院は新型コロナウィルス(COVID-19)の診察はしておりません。新型コロナウィルス(COVID-19)の後遺症外来も行っておりません。
当院は泌尿器科専門のクリニックです。コラムは医療者として情報提供が義務だと思っているので行ってます。
もし泌尿器科関連でお困りのことがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。
尚、グループのクリニックの大宮エヴァグリーンクリニックでは、麻酔を使った苦しくない胃カメラ、消化器科外来、泌尿器科外来を行ってます。お気軽にご利用下さい。

この記事を執筆した人
伊勢呂哲也

日本泌尿器科学会認定・泌尿器科専門医
名古屋大学出身
年間30000人以上の外来診察を行なう。
YouTubeでわかりやすい病気の解説も行なっている。

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