亀頭包皮炎(陰茎・ペニス・チンチンが痛い、痒い、赤い、腫れる)
亀頭包皮炎(ペニス・陰茎のトラブル、痛み、痒みなど)
亀頭・陰茎・ペニス・ちんちんと呼ばれる箇所の痛み・痒み・赤み・カサつき・皮がめくれる、このようなトラブルを抱えている方はとても多いです。
実際に当院の大宮院でもこれらの症状で悩むたくさんの患者様が来院し、多い時には1日で新規の患者様が10人〜15人という日もあります。真菌性(カンジダ性)の患者様で5年6年と長期にわたり悩んでいる方もいらっしゃいます。
このような事実を目の当たりにしてこの症状で悩んでいる患者さんは思った以上に多く、もっとたくさんの人たちが治療を希望しているのではないかと思いました。
東京泌尿器科クリニック上野院でもより多くの助けを求めている人たちに最善の治療を提供できたらという思いで力を入れていこうと思っています。
患者様が安心して来院できるように待合室では人と顔を合わせることがないようにしております。また、男性スタッフをメインに配置するなどプライバシー配慮にも力を入れておりますので少しでも気になる症状のある方は恥ずかしがらずにお越しください。
当記事において亀頭包皮炎に関してなるべくわかりやすく解説していきますので悩んでいる方、気になっている方の不安の解消に役立てば幸いです。
尚、具体的な参考になればと実際の症例と共に画像もつけておりますが、刺激が強く気分を害される恐れのある方は閲覧を控えることをお勧めいたします。
◆目次◆
1 亀頭包皮炎
1.1 亀頭包皮炎とは
1.2 亀頭包皮炎になりやすい人
1.3 亀頭包皮炎の種類
2 細菌性亀頭包皮炎
2.1 細菌性亀頭包皮炎の原因
2.2 細菌性亀頭包皮炎の症状
2.3 細菌性亀頭包皮炎の検査
2.3.1 採血
2.3.2 尿検査
2.3.3 培養検査
2.4 細菌性亀頭包皮炎の治療
2.5 細菌性亀頭包皮炎の症例・画像
3 真菌性(カンジタ)亀頭包皮炎
3.1 真菌性(カンジタ)亀頭包皮炎の原因
3.2 真菌性(カンジタ)亀頭包皮炎の症状
3.3 真菌性(カンジタ)亀頭包皮炎の検査
3.3.1 採血
3.3.2 尿検査
3.3.3 培養検査
3.4 真菌性(カンジタ)亀頭包皮炎の治療
3.5 真菌性(カンジタ)亀頭包皮炎の症例・画像
4 ウィルス性(ヘルペス)と梅毒の亀頭包皮炎
4.1 ウィルス性(ヘルペス)亀頭包皮炎の原因
4.2 ウィルス性(ヘルペス)亀頭包皮炎の症状
4.3 ウィルス性(ヘルペス)亀頭包皮炎の検査
4.3.1 採血
4.3.2 尿検査
4.4 ウィルス性(ヘルペス)亀頭包皮炎の治療
4.5 ウィルス性(ヘルペス)亀頭包皮炎の症例・画像
5 亀頭包皮炎の診療費用
1 亀頭包皮炎
1-1 亀頭包皮炎とは
陰茎の先端に亀頭があり、その周りに包皮があります。この亀頭と包皮の部位を不潔にしたり、性行為や強い刺激などにより傷ついてバイ菌やカビに感染し炎症を起こしている状態のことです。
患部が赤く腫れる、痒い、痛い、カサカサする、皮がむける、ブツブツや恥垢がでる、膿がでるなどが主な症状ですが、皮膚に裂け目が入ることもあります。
亀頭包皮炎といっても細菌やカビなどの違いからいくつかの種類に分けられますので、それぞれの亀頭包皮炎に対しての治療が必要となります。
1.2 亀頭包皮炎になりやすい人
基本的には 「包茎」の人がなりやすいです。
包茎には仮性包茎と真性包茎と呼ばれるものに分けられますが、どちらの場合でも余分な皮が亀頭と包皮の間に密閉された空間を作り、そこにバイ菌が溜まりやすく感染しやすくなります。
また仮性包茎の人は皮がずれるときに亀頭に傷をつけやすいというリスクがあります。陰部が不潔な状態である人も亀頭包皮炎になりやすいです。
真性包茎の人は常に皮がかぶさることで恥垢が溜まりやすく溝の部分や細かい部分を清潔に保つことが難しいというリスクがあります。
不規則な生活やストレス過多などで免疫力が低下している人も注意が必要です。包茎の人が2回以上亀頭包皮炎をくりかえすようであれば包茎手術を考慮した方が良いでしょう。
1.3 亀頭包皮炎の種類
亀頭包皮炎にはバイ菌の種類によってそれぞれ治療法が異なってきます。
細菌によって起こる「細菌性亀頭包皮炎」、真菌(カビ、特にカンジタ)によって起こる「真菌性亀頭包皮炎」そしてウィルスによって起こる「ウィルス性亀頭包皮炎」に分けられます。
8割以上の方が「細菌性亀頭包皮炎」なのですが、真菌性のもので長年苦しんでいる方も多くいらっしゃいます。
どちらかというと当院に悩んでお越しに来る方は真菌性の方が多いかもしれません。ご自身がどの種類の亀頭包皮炎なのかは専門医に診断してもらい、適切な治療をしましょう。
2 細菌性亀頭包皮炎
2.1 細菌性亀頭包皮炎の原因
性交渉や強い刺激などで傷ついたり、不潔にしていることで大腸菌や黄色ブドウ球菌などの常在菌や外から入ってきた菌が繁殖し感染を起こします。
清潔を保とうと必要以上に擦り洗いすぎて傷つけてしまうことも原因の一つになります。
また不規則な生活習慣などで免疫力が低下し抵抗力が弱まっているときにもなりやすいとされています。先述の通り包茎も細菌性亀頭包皮炎の大きな原因の1つです。
2.2 細菌性亀頭包皮炎の症状
亀頭や包皮が赤く、腫れて斑点状になることもあります。
膿が出たりすることも細菌性の特徴です。真菌性に比べると赤みが強いのが特徴です。
カサついたり、皮がむけることもあります。治療をせずそのまま放置しておくと皮膚が裂けることもあります。
この症状で通院する多くの患者さんが痒みや赤み、痛みの症状が出始めて数日から1〜2週間と比較的短期間で来院されています。
2.3 細菌性亀頭包皮炎の検査
2.3.1 採血
採血をして体の中に炎症が起こっていないか、起こっていたとしたらどれほどの炎症なのか、糖尿病があるかなどを調べます。糖尿病があると合併症を引き起こしやすいためです。隠れた糖尿病が亀頭包皮炎の採血で明らかになることは珍しくありません。
2.3.2 尿検査
尿検査は尿の中にバイ菌やがん細胞が入っていないか、血液や白血球が含まれていないかを確認します。泌尿器科では尿検査はとても大切な検査になっています。
2.3.3 培養検査
患部を直接綿棒で拭って組織を摂取します。その後培養をして細菌なのか真菌なのか原因菌を特定させます。検査結果は1週間ほどかかります。
2.4 細菌性亀頭包皮炎の治療
抗生剤の塗り薬をお出しします。症状が強い場合は同時に抗生剤の内服も行います。
だいたいの患者様が1〜2週間以内に治るのですが、これらの治療で改善しない場合には真菌性亀頭包皮炎の可能性も考えられますので再度培養検査で原因菌を見極め、適した治療を行います。
また、細菌性でも真菌性でもウィルス性でも亀頭包皮炎の治療をしている間は無駄に刺激を与えることで回復を遅らせてしまいますので性行為など刺激になることはなるべく控えた方が良いと言われてます。
2.5 細菌性亀頭包皮炎の症例・画像
患者様の許可のもとに症例・画像の掲載をいたします。大宮院での症例です。
症例①
30代男性。3日前からの亀頭と包皮の痛み、痒みで受診されました。赤みと膿がかなりひどくなっていました。培養からは大腸菌が検出されました。細菌性亀頭包皮炎の診断にて塗り薬と内服薬で1週間程度で回復しました。
症例②
50代男性。1週間前からの陰茎の痛みと腫れで受診されました。糖尿病を患っています。赤みと膿が出てきて、亀裂も見られました。培養から大腸菌、黄色ブドウ球菌が検出されました。塗り薬と内服で2週間程度で回復しました。
症例③
40代男性。亀頭の強い赤み、包皮がカサカサする、皮がむけて痒みがひどくなり受診されました。培養から大腸菌とB群溶血性連鎖球菌が検出されました。塗り薬と内服で1週間程度で回復しました。
3 真菌性(カンジタ)亀頭包皮炎
3.1 真菌性(カンジタ)亀頭包皮炎の原因
真菌性(カンジタ)の菌は水虫の原因となる白癬菌(はくせんきん)と同じようにカビに分類される菌です。真菌性の菌は一度感染して発症してしまうと、なかなか除去することが困難で根気強く継続的な治療を要します。1-2ヶ月くらいは最低でも治療に時間がかかります。
真菌性亀頭包皮炎の原因はやはり包茎であったり糖尿病がある状態で、性交渉後や何かしらの原因で亀頭と包皮が傷ついてしまったときなどに菌が入り混んで感染してしまいます。真菌(主にカンジタ菌)は人間の体にもともとある常在菌でもあるので、特に体の免疫力が落ち感染に対する抵抗力が弱まっているときなどに感染しやすいです。
3.2 真菌性(カンジタ)亀頭包皮炎の症状
赤くなり、白いカスが溜まって痒みを起こします。
円周状や縦に陰茎が切れたりすることもあります。患者様の訴えとしては、カサつく、カスがたまる、性行為後(自慰行為後)に陰茎が切れるなどが多いです。
真菌性(カンジタ)亀頭包皮炎の特徴として数ヶ月から年単位で苦しんでいる方が多いです。5-6年前から陰茎の皮膚が切れる、といったら症状を訴える方も非常に多くいらっしゃいます。
3.3真菌性(カンジタ)亀頭包皮炎の検査
3.3.1 採血
採血をして体の中に炎症が起こっていないか、起こっていたとしたらどれほどの炎症なのか、糖尿病があるかなどを調べます。
真菌性の場合は糖尿病が隠れてある方が多いです。また白血球の値を調べることで、細菌感染が合併していないかなども調べます。
3.3.2尿検査
尿検査は尿の中にバイ菌やがん細胞が入っていないか、白血球が含まれていないかを確認します。
3.3.3培養検査
細菌性亀頭包皮炎と同様に患部の皮膚や粘膜を直接綿棒でこすって、原因となっている菌の特定をします。細菌と真菌が双方とも検出される場合があります。検査結果は1週間ほどかかります。
3.4 真菌性(カンジタ)亀頭包皮炎の治療
抗真菌薬の塗り薬を投与し、炎症が強い場合には飲み薬を服用することになりますが、多くの場合で塗り薬のみでの治療となります。見た目には綺麗になったから治っただろうと勝手に判断して治療をやめてしまうのはやめましょう。
薬を塗るのを止めるとすぐにまた炎症を起こすこともあります。真菌は目に見えなくても皮膚の深部まで根を張っているので根気よく治療を継続しましょう。1-2ヶ月くらいは治療に時間がかかります。
3.5 カンジタ亀頭包皮炎の症例・画像
患者様の許可のもとに症例・画像の掲載をいたします。
症例①
20代男性です。半年前からの陰茎のカサつき、痒みで受診されました。白くかさついていて恥垢もみられます。培養からカンジタが検出されました。内服薬と塗り薬で2ヶ月続けたところその後再発は見られておりません。
症例②
50代男性です。5年前からの強い赤みと大量の白い恥垢を訴え受診されました。培養からカンジタ菌とB群溶連菌が検出されました。塗り薬で1ヶ月で元の状態に回復したのですが、もう1ヶ月続けてもらいその後再発はありません。
症例③
30代男性です。2年前からの痒みと包皮が円周上に切れてしまうということで受診されました。性行為の度に切れてしまうということでした。培養からカンジタが検出されました。以前から再発を繰り返していたようです。塗り薬と内服で2ヶ月程度で回復しました。今のところ再発は見られません。
4 ウィルス性(ヘルペス)の亀頭包皮炎
4.1 ウィルス性(ヘルペス)の亀頭包皮炎の原因
ウィルス、主にヘルペスウイルスによる亀頭包皮炎は性感染症の一つです。性器ヘルペスと呼ばれます。ヘルペスウイルスは人の体の神経節に一生留まっているため、一度感染するといつでも発症する可能性があります。
体調を崩していたり疲れやすいときなどに発症します。唇にできる口唇ヘルペスの方が皆さんには馴染みがあるかもしれません。ヘルペスは現在の医療で完治はしないとされております。
4.2 ウィルス性(ヘルペス)の亀頭包皮炎の症状
ウィルス性(ヘルペス)は亀頭と包皮に水泡ができます。その水泡が破れて潰瘍のようになり痛みを伴います。治る過程でカサブタのような状態になります。初発よりも再発は症状が軽いと言われております。
4.3ウィルス性(ヘルペス)の亀頭包皮炎の検査
4.3.1 採血
採血にてヘルペス抗体のチェックをします。梅毒と呼ばれる性感染症と見た目が近いこともあり、梅毒でないかのチェックも採血で行います。最近梅毒にかかっている方が非常に増えているのでそこも見逃せません。
4.3.2 尿検査
4.4 ウィルス性(ヘルペス)亀頭包皮炎の治療
抗ウィルスヘルペス薬を投与します。治りが悪い場合には塗り薬も併用します。
ヘルペスウイルスによる亀頭包皮炎は再発することがあるため、再発予防のために定期的に飲み薬を飲む場合もあります。
医師に相談しましょう。
4.5 ウィルス性(ヘルペス)の亀頭包皮炎の症例・画像
症例①
20代男性です。
性行為後1週間後から亀頭部に水疱が増え、それから痛みを伴い受診されました。採血ではヘルペスウイルス抗体が陽性で、5日間の飲み薬で改善しなかったため、追加の塗り薬を出し完治しました。
症例②
20代男性です。包皮に数点のの水疱ができ、それが潰れてカサブタになり痛みを伴い受診されました。ヘルペスウイルス抗体が陽性でした。5日間の飲み薬にて改善されました。
5 亀頭包皮炎の診療費用
初診 保険診療、3割負担で薬代除いて2000円〜4500円程度となっております。検査の項目によって費用は前後致しますのでご了承下さい。