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テストステロンを増やす男性ホルモン注射とは

[2023.11.25]

はじめに

40代以降の男性でこんな症状にお悩みの⽅はいらっしゃいませんか?

  • 体がだるい
  • 疲れやすい
  • 怒りっぽくなった、イライラする
  • やる気が出ない、仕事に⾏きたくない
  • 集中⼒や記憶⼒の低下
  • 不眠
  • うつ症状
  • ED
  • 性欲や勃起⼒の低下
  • 発汗・ほてり

これらの症状を「男性更年期障害だから仕⽅ない」と諦めないでください。これらの症状は男性ホルモンである「テストステロン」を体の外から補充すると、劇的に良くなるケースもあるのです。


1 男性更年期障害とは

更年期障害といえば⼥性特有のものかと思われがちですが、男性にも起こります。原因は男性ホルモンである「テストステロン」の低下や、加齢による精神・⾝体機能の低下などとされています。
意欲低下によりうつ病を疑って⼼療内科を受診する⽅がいたり、性機能低下により夫婦関係に影響したり、仕事に集中できなかったり、怒りっぽくなった⾃分を責めたりするため、患者様のお悩みは深刻で⽇常⽣活にも⼤きな影響を及ぼしてしまいます。

2 男性ホルモン「テストステロン」の作⽤

テストステロンは男性ホルモンのうちの1つです。テストステロンは20歳代をピークにして徐々に減少していきます。テストステロンは「男性らしい機能」を備えるためだけではなく、下記の表のように広く全⾝に作⽤しており、いつまでも活⼒溢れる⽇々を送るための⼤切な役割を担っています。

☆テストステロンの主な作⽤
性欲、攻撃性、記憶⼒や集中⼒を⾼める
⾻格の成⻑と⾻量の増加
筋⾁ 筋⾁の成⻑と維持
腎臓 ⾚⾎球産⽣を促進する
⽪膚 髭や体⽑、⽑髪の育成
肝臓 浸透圧の維持などをする⾎清アルブミンを産⽣
男性⽣殖器 ⽣殖器の形成、精⼦形成
その他 好奇⼼、チャレンジ精神などを⾼める

テストステロンが不⾜すると更年期症状以外にも様々な症状が引き起こされます。内臓脂肪増加やインスリン拮抗性の悪化(インスリンが効きづらくなること)、⾻粗鬆症、⼼⾎管疾患、抑うつ状態、性機能低下、全⾝倦怠感、集中⼒低下など多岐に渡ります。
テストステロンの低下によって起こる様々な症状をLOH症候群と⾔い、40歳では2〜5%、70歳では30〜70%の男性でテストステロン値の低下が認められています。

3 男性更年期障害・LOHの診断

男性更年期障害・LOHの診断にはまず問診が⾮常に⼤切になります。診察室では⾃覚症状、既往歴、現病歴、家族歴、職場や家庭環境などを確認します。
次にテストステロンを測定するために⾎液検査をします。テストステロンの値は個⼈差が⼤きく、さらに⽇内変動もありますが、8.5〜11.8pg/dlを境界域、8.5pg/dl未満の場合にテストステロン補充療法の適応とされています。
テストステロン値が8.5pg/dl以上の場合でも、ご本⼈の⾃覚症状が強く、⽇常⽣活にも影響を及ぼしているようなケースでは、テストステロン補充療法が必要と判断して治療を開始することも当院では多くあります。
テストステロン値は年齢とともに低下していくものではありますが、減少する時期や速度は個⼈差が⼤きく、⼀概に基準値だけでは判断できません。そのため、数字だけに頼らず、患者様それぞれの⾃覚症状に合わせた的確な判断が⼤切となるのです。
ご⾃宅で簡単に男性更年期障害の⾃⼰チェックができる「AMSスコア」を持参される⽅もいらっしゃいますので、診断の参考にします。AMSスコアはネットで簡単にダウンロードできますので、気になる⽅はチェックしてみてください。

4 テストステロンを増やす治療(テストステロン補充療法)

テストステロンを増やす治療は主に2種類あります。
外からテストステロンを補充する治療で、注射薬と塗り薬があり、それぞれの特徴を下記の表にまとめました。

  注射薬
(テスチノンデポー)
塗り薬
(グローミン)
保険適応 可(2~4週間に一度) 不可
治療⽅法 2〜4週間に⼀度、肩に筋⾁注射 1⽇2回、顎や陰嚢に塗布
作⽤ ⾼い効果と即効性 毎⽇塗布するため、持続性はあるが効果は緩やか

5 テストステロン補充療法の実際

5-1 男性ホルモン注射

第⼀選択は注射薬による男性ホルモン注射(テスチノンデポー)です。2〜4週間に⼀度来院していただき、肩に筋⾁注射をします。男性ホルモン注射は⾎中濃度が速やかに⾼くなるため、効果を強く実感する⽅が多いのが特徴です。副作⽤として多⾎症や肝機能障害が起こる可能性があるため、テストステロン値の変化と合わせてこれらの値を定期的に採⾎で調べて経過をみていきます。

5-2 男性ホルモン塗り薬

男性ホルモンの塗り薬(グローミン)の⾎中濃度は注射薬ほど⾼くはなりませんが、毎⽇塗布するため⾎中濃度を⼀定に保てるという利点があります。当院では注射薬と塗り薬の両⽅を取り⼊れており、注射薬の効果が落ちてきた頃、塗り薬を塗布して⼀定のホルモン値をキープできるような提案もさせていただいております。

6 治療前の注意事項

前⽴腺がんは男性ホルモンの影響を強く受けるため、前⽴腺がんの⽅にはテストステロン補充療法は⾏えません。そこで、治療を⾏う前には前⽴腺がんの腫瘍マーカーであるPSAを必ず測定する必要があります。
なお、テストステロンを補充することによって前⽴腺がんのリスクが増⼤するといったデータはありませんのでご安⼼ください。

7 男性更年期障害の症状を放置すると

男性更年期障害の症状を放置するとテストステロンが減少することにより様々な健康への悪影響が起こります。内臓脂肪によるメタボリックシンドロームは⽣活習慣病を引き起こし、糖尿病や⾼⾎圧の原因となります。また、好奇⼼やチャレンジ精神がなくなり、引きこもりがちになる⽅もいるのです。
「年齢のせい」だと諦めず、医療機関を受診して検査を受けてみてはいかがでしょうか。男性ホルモン注射や塗り薬でテストステロンを増やす事で症状の改善や軽減が期待できます。
登⼭家の三浦裕⼀郎さんが80歳でエベレスト登⼭に成功した際、「地道なトレーニングと男性ホルモン注射によって体⼒を回復させる事ができた」と発⾔しているように、テストステロンを増やすことはバイタリティを⾼め、若々しい日々を送ることにも直結します。

8 男性更年期障害を疑ったら

男性更年期障害を疑う症状のある⽅は東京泌尿器科クリニック上野にご相談ください。当院は今まで数多くの男性更年期障害の患者様の診察をしております。お⼀⼈お⼀⼈の症状や症状による困窮度、検査結果、⽣活背景など総合的に鑑みた治療をする事ができます。
どんな事でもお気軽に当院までお尋ねください

この記事を執筆した人
伊勢呂哲也

日本泌尿器科学会認定・泌尿器科専門医
名古屋大学出身
年間30000人以上の外来診察を行なう。
YouTubeでわかりやすい病気の解説も行なっている。

 

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