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絶対知らないといけない ! 尿の危険なサイン

[2023.11.17]

はじめに

みなさんは⾃分の尿をじっくりとみた事がありますか?
実は尿を注意深く観察する事は全⾝の状態を知る事にも繋がるのです。
気にしすぎてもいけませんが、尿は体からの何らかのサインかも知れません。
そのため、いつもと違う尿が出た場合はその異常にいち早く気づき、医療機関を受診する事が、病気の早期発⾒に繋がるケースもあります。
この記事では、皆さんにぜひ知っておいていただきたい「尿の危険なサイン」についてお話ししたいと思います。

尿はどうやって作られるのか

尿は⾎液から作られています。
腎臓は1⽇に150ℓもの⾎液を濾過しており、体に溜まった⽼廃物や毒素を取り除き、きれいになったものは再び腎静脈から体に循環させ、不要なものを尿として排出する働きがあります。
こうして尿は1⽇に1ℓ〜1.5ℓ作られています。

尿の危険なサイン① 尿が泡⽴つ

尿を出すスピードが早かったり勢いが良かったりすると泡⽴ちますが、それ以外だと、尿の中にタンパクが含まれていたり、感染症を起こしている場合が考えられ、放置してはいけないケースもあります。
タンパクは私たちの体を構成する上でとても⼤切な成分であり、筋⾁をはじめとして、臓器など多くの組織を構成しています。そのため、腎臓で⾎液が濾過される際は、タンパクはそのフィルター(⽷球体)を通らず、再び体を循環する仕組みとなっています。
ところが腎臓に何らかの異常があるとタンパクがフィルターを通ってしまい、尿の中に漏れ出てしまうのです。原因は腎炎や糖尿病性腎症などが考えられます。
タンパク尿が出ているだけでは⾃覚症状がないため、異常には気づきにくいですが、尿が泡⽴っている場合には体からの何らかのサインかも知れません。
そのほか、膀胱炎や腎盂腎炎、前⽴腺炎などの感染症があっても尿が泡⽴つ事があります。

尿の危険なサイン② ⾎尿

⾎尿には⾁眼的⾎尿(⽬で⾒て分かる⾎尿)と顕微鏡的⾎尿(顕微鏡で⾒てはじめて分かる⾎尿)がありますが、ともに放置する事は⾮常に危険です。
尿管結⽯膀胱炎などは⾎尿が出る事があり、そのまま放置してしまうと尿管結⽯による激しい痛みや膀胱炎が悪化して腎盂腎炎を起こしてしまう恐れがあります。

また、膀胱がん初期には全く症状がなく、違和感も痛みもないけれど⾎尿が出るといった状態です。癌の細胞は⾮常に脆く、擦れて出⾎してしまうため、⾎尿として現れるのです。膀胱がんが進⾏してしまうと⻑時間の⼿術となったり、⼈⼯膀胱が必要になったり、患者様の⽇常⽣活にも⼤きな影響を及ぼしてしまいます。そのため、わずかな⾎尿でも医療機関を受診し、早期発⾒につなげる事が⼤切になります。

健康診断で指摘される顕微鏡的⾎尿に関しても腎臓がんや膀胱がんなどの可能性も否定できないため、必ず医療期間を受診して超⾳波検査やCT検査を受ける事が⼤切です。万が⼀、癌が発⾒されたとしても顕微鏡的⾎尿の段階ではごく初期である場合が⾼く、患者様の⾝体的、精神的、経済的負担が少なく済みます。

尿の危険サイン③ 尿が濃い

泌尿器科学会によると尿の⾊は「ちょっとだけ⻩⾊」が正常な⾊とされており、⻩⾊が強い尿には様々な原因があるのです。

夜間はトイレに⾏かないため、朝⼀番の尿は濃縮されて濃くなりますが、それ以外で尿が濃い場合には脱⽔状態の現れかも知れません。運動後、夏の炎天下、⻑時間⽔分を摂取しなかったなどの場合には尿が濃縮されて濃くなるため、⽔分補給をする合図となります。これに体調不良などが伴う場合には医療機関を受診するようにしましょう。

また、尿の中にビリルビンが混ざっている状態の「ビリルビン尿」の場合は尿が濃いオレンジ⾊として現れます。
肝臓や胆道、膵臓に病気があり、肝臓で作られた胆汁がスムーズに流れないと胆汁の成分のビリルビンが⾎液中に⼊り込み、ビリルビン尿として排出されます。
起きてすぐの尿でもなく、⽔分もしっかり摂取しているのに尿が濃い場合はビリルビン尿の可能性もありますので、注意が必要です。

「尿が濃い」時、⼀般的に皆さんが思い浮かべるのは、脱⽔によるものかと思いますが、肝臓や膵臓など消化器系の病気があっても尿に変化が現れるということも知っておいていただきたいポイントです。

尿の危険サイン④ 尿混濁(尿が濁る)

尿が濁る「尿混濁」は通常混ざる事がない⽩⾎球が混ざっている事が考えられ、何らかの感染を起こしている可能性があります。
性感染症(性病)膀胱炎、腎盂腎炎、前⽴腺炎などがこれにあたり、この場合には抗⽣物質での治療が必要となりますので、医療機関を受診しましょう。
また、感染を起こす⼀因として⽔分不⾜も考えられますので、普段から1.5ℓ〜2.0ℓは⾷事以外での⽔分摂取をする事が望ましいとされています。

膀胱がんがある場合にも癌細胞がこぼれ落ちて尿が濁る事がありますので、いずれにしても放置する事は危険です。

まとめ

普段、何気なくしている尿ですが、体からの何らかのSOSが現れている場合もあります。
普段から⼗分に⽔分を摂取して病気を予防する事はもちろん⼤切ですが、それでも防げない病気のサインかも知れません。
尿が泡⽴ったり、濁ったり、⾊が濃かったり、⾎尿が出たりした場合には必ず医療機関を受診して尿検査や超⾳波検査、CT検査などを受けて原因を解明する事が⼤切です。

東京泌尿器科クリニック上野は泌尿器科専⾨のクリニックです。泌尿器科専⾨医が対応させていただきますので、どんなことでもお気軽にお尋ねください。

この記事を執筆した人
伊勢呂哲也

日本泌尿器科学会認定・泌尿器科専門医
名古屋大学出身
年間30000人以上の外来診察を行なう。
YouTubeでわかりやすい病気の解説も行なっている。

 

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