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頻尿・尿漏れを治す生活習慣5選

[2023.09.27]

はじめに

日本泌尿器科学会によると頻尿とは「朝起きてから就寝までの排尿回数が8回以上」と定義づけられています。頻尿の症状をお持ちの方は1日に何度もトイレに行くため、人の目を気にしてしまったり、授業や仕事に集中できなかったりと社会生活にも大きな影響を及ぼしてしまいます。
また、頻尿の症状をお持ちの方の中には、トイレに間に合わず我慢できなくて漏れてしまう方(切迫性尿失禁)もいらっしゃいますので、そのお悩みは非常に深刻と言えます。

頻尿や尿漏れのお悩みはなかなか人に相談できずに、お1人で抱え込んでいるケースも多くあります。尿漏れする事で自分を責めてしまったり、長時間の電車に乗れなかったり、中には外出そのものを控えてしまったりして家に閉じこもる方もいらっしゃるのです。
そこで今回は頻尿やそれに伴う尿漏れの症状にお悩みの方に向けて、症状を改善する生活習慣5選をお話しさせていただこうと思います。

1 頻尿の原因

頻尿の原因は過活動膀胱、前立腺肥大などによる残尿量の増加、内分泌疾患による多尿、尿路感染症、膀胱がんなどの腫瘍、心因性など多岐に渡ります。
そのため、今回お話しする生活習慣を試してみても症状が改善しない場合はお近くの泌尿器科を受診するようにしてください。

2 頻尿・尿漏れを治す生活習慣5選

それではこれから頻尿、尿漏れを治す生活習慣5選をお話しさせていただきます。どれも簡単にできる事ですが、しっかりとした実験結果なども出ていますので、併せて紹介させていただきます。

2-1 辛いものを食べない

辛いものを食べると膀胱の粘膜が刺激されて頻尿に繋がります。
2006年にスコットランドで発表された論文では「週に5回以上辛いものを食べる方はより頻尿になりやすい」という結果が報告されています。これは唐辛子に含まれる成分の「カプサイシン」によるものとされています。
頻尿の症状にお悩みの方で、普段から好んで辛いものをよく食べるという方は、少し控えてみることで頻尿の症状が落ち着くかも知れません。

2-2 アルコール・カフェインを控える

コーヒーや煎茶、紅茶などのカフェインやアルコールも頻尿に繋がります。
カフェインやアルコールには利尿作用があり、たくさん尿が作られるので結果的に何度もトイレに行く頻尿の状態になってしまいます。

加えてカフェインには膀胱の粘膜を刺激する作用がありますので、さらに頻尿へと繋がります。
2011年にアメリカで発表された論文では「1日にカフェインを247mg(コーヒーで例えると約3杯)以上摂る方は摂らない方に比べて尿漏れをしてしまう割合が1.3倍多い」と報告しています。

コーヒー1杯には約80mgのカフェインが含まれていますので、普段からコーヒーをよく飲むという方は1日1~2杯にするのがお勧めです。また、食事と一緒に摂ることの多い煎茶やおやつの定番のチョコレートにもカフェインが含まれていますので摂りすぎには注意が必要です。

コーヒーやチョコレートでホッと一息つく時間は仕事や家事の間の楽しみでもありますので、完全にゼロにすることは難しいですが、頻尿や尿漏れにお悩みの方はほんの少し控えてみてはいかがでしょうか。

2-3 水分の過剰な摂取を避ける

頻尿や尿漏れの症状でクリニックを訪れる患者様の中には1日に3ℓ以上の水分を摂られている方もいらっしゃいます。この場合、いくら腎臓や膀胱の機能が正常でもどんどん尿が作られ、結果的に頻尿の状態となるため、異常とはみなしません。

ここで重要となるのは「その方の頻尿の状態が病的かどうか」ということになります。

その場合の見極めには排尿日誌が非常に大切になります。排尿日誌は1日24時間を通して、飲んだ水分量と出た尿量を記録するもので、簡単にできることにも関わらず、頻尿の診断には非常に大切なものになります。
膀胱は一度に200~300mlの尿を溜められるのが正常です。ということは、頻尿の方でも1回の尿量が200~300mlとしっかりと溜められていて、なおかつ水分摂取量が多い方に対しては、水分の取り過ぎであり病的なものではないと判断しています。
一方で1回の尿量が50mlくらいにも関わらず、何度もトイレに行っている方は、何かしらの原因により膀胱に尿が溜められない状態であると判断します。その場合には過活動膀胱があったり、尿管結石があったり、前立腺肥大があったり、腫瘍などの大きな病気が隠れていたりするケースがあるので、詳しい検査を進める必要があります。

尿量を計測する排尿カップや排尿日誌は泌尿器科でもお渡ししています。まずは自分で調べてみたいという方については、排尿日誌はWEB上で簡単にダウンロードできますし(日本排尿機能学会)、排尿カップもAmazonなどで購入できますので、ご自分の頻尿の傾向を調べてみてはいかがでしょうか。

2-4 膀胱訓練

膀胱訓練とは「尿意を感じてから5~10分我慢してから排尿する」というものです。この訓練を行うことで徐々に膀胱に溜められる尿の量が多くなっていき、頻尿が改善されてきます。

2002年にアメリカで行われた研究では「膀胱訓練を受けた女性の群は受けなかった群に比べて1日の尿の回数の平均が12回から9回に減少した」と報告しています。
膀胱訓練はエビデンス(証拠)のある治療・訓練であり、非常に有用とされています。
このお話を患者様にすると、必要以上に尿を我慢してしまう方がいらっしゃいますが、膀胱炎の原因にもなりますので、我慢するのは5~10分で十分です。これを何度も繰り返していくことで膀胱の容量が徐々に増えていきますので、無理のない範囲で続けていくようにしましょう。

 

2-5 骨盤底筋体操

骨盤底筋体操は骨盤の底にある骨盤底筋群(膀胱、膣、子宮、尿道、直腸を支える筋肉)を鍛える体操です。尿漏れは骨盤底筋の筋力の低下で起こるとされていますので、骨盤底筋体操をする事は非常に効果的です。

骨盤底筋体操のやり方
  1.   仰向けに寝た状態で両膝を立てます
  2.   ゆっくり息を吐きながらギューっと肛門を締めます(おならを我慢する時のように)
  3.   ゆっくり息を吸いながら肛門を緩めます

これを3~5回繰り返します。

また、これと同じ方法で尿道を締めるようにしたり(尿を我慢する時のように)、膣を締めるようにしたり(肛門と尿道の間を意識して)するとさらに効果的です。

これを裏付けるものとして2018年にフランスで発表された論文では、「尿漏れに悩む女性2077名を対象にし、骨盤底筋体操を週に3回2ヶ月間続けた結果、57%で尿漏れが低下した」という実験結果を報告しています。

3 まとめ

頻尿や尿漏れの症状にお悩みの方へ向けて、簡単にできる生活習慣をお話しさせていただきました。試していただくことで症状が少しでも改善され、外出を楽しめるようになったり、不安なく社会活動に参加できたり、QOLの向上に繋がると嬉しいです。
また、今回お話しした生活習慣を試してみても症状が変わらない場合や、どんどん症状がひどくなっているといった場合には何か他の病気が隠れていることがありますので、お近くの泌尿器科をご受診ください。

当院では頻尿、夜間頻尿の検査、診断、治療が可能です。経験豊富な泌尿器科医が担当させていただきますのでどんな事でもお気軽にご相談ください。

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